フラットホワイトの午後

手帳のこと、本のこと、映画のこと。

愛しのフラットホワイト

オーストラリアで出会った至福のコーヒー

「フラットホワイト」は、エスプレッソにスチームミルクを加えたコーヒードリンク。オーストラリアやニュージーランドのスタンダードな飲み方で、しっかりビターなエスプレッソとミルク本来の自然な甘さが互いに引き立ち合う濃いめの味わいがたまらない。

初めて飲んだのは、ケアンズに一人旅した時だった。どのカフェでもだいたい一番上に見たことのない「フラットホワイト」の文字。どうもコーヒーみたいだけど、コーヒーの文字はないし、ホワイトと言うくらいだから、コーヒー牛乳みたいなやつかな?と頼んでみたら、予想に反してガツンと大人なビターコーヒーだったのだ。

最初の一口の衝撃と感動ったら!「ナニコレ?!ウワー!信じられないくらい美味しい!!!!!」と一人心の中で叫び、平静を装いつつ一人でアワアワした。

この衝撃的に絶妙なエスプレッソとミルクの引き立て合い!ハーモニーと言うより、個性あふれる二人のジャズミュージシャンが掛け合いのセッションをしているような色濃さ。もともとコーヒーは好きな方だったが、それまではなんとなく雰囲気で好きだったのだと思う。この日、私は本当の意味でコーヒーが大好きになった。

ケアンズに滞在した5日ほどの間、初日にフラットホワイトの虜になった私は、毎日見かけるたびにフラットホワイトを飲んだ。どのお店のフラットホワイトも、エスプレッソのパンチとコクとミルクの甘みが深く色濃く共存していて、本当に美味しかった。ひと口飲めば、心が深いところで落ち着く感じがした。

帰国してから、日本でもフラットホワイトを飲めるところはないか探した。今では割と見かけるようになってきたが、当時はあまりなく、あってもちょっとマイルドな感じでピンとこなかった。しかも値段が高くて、これだと特別な時しか飲めない・・・私もフラットホワイトをスタンダードにしたいのに!

もしや珈琲豆の違いかな?と思って調べてみると、実はオーストラリアはコーヒーがとても盛んな国で、オーストラリア産の珈琲豆はほぼ全て国内で消費されるので外に出回らないらしい?!なんと!珈琲豆買ってくれば良かった!!

今となっては豆の違いだったのかはわからないけれど、豆が違うなら仕方ない、と探す方向性を変えた。フラットホワイトに似たコーヒーが飲めるお店はないか探すことにしたのだ。

決して同じではないし、もはや似ているのかも自信はないが、私の新しいスタンダードは意外と早く見つかった。カプチーノだ。

フラットホワイトにはふわふわの泡は乗っていないが、エスプレッソ部分の濃さとミルクの量は、割と似ている気がした。今までフォームミルクやシナモンパウダーに気を取られて、ちゃんとコーヒー部分を味わえていなかったのかもしれない。

というわけで、それ以降、私のスタンダードはカプチーノになった。

コロナ禍に入ってからは自分でコーヒーを淹れるようになり、どうせ飲むなら美味しく淹れたいと凝り出した結果、もはやお店で飲むより自分で淹れた方が美味しいと感じるようになってしまった今日この頃だが(自分の好みの豆で自分の好きなように淹れられるからね)、また安心して海外旅行ができる日が来たら、オーストラリアに行ってあのフラットホワイトと再会したいなぁ。