フラットホワイトの午後

手帳のこと、本のこと、映画のこと。

「レイジング・ファイア」(2021年/香港・中国)

ドニー・イェンニコラス・ツェーW主演。シリアスに展開されるドラマに、苦しい感情を伴う激しいバトル。アクションだけでなく、ストーリー展開もドラマチックで見応えあり。ニコのアクションが好きだったので、ドニーさんとの対決に胸が躍った。

かつて警察の同僚だった二人がある事件を境に引き裂かれ、一方は正義を貫き、もう一方は復讐に燃え、追い詰め、追い詰められていく。二人の過去に何があったのかが少しずつ解き明かされていくような展開がとてもドラマチックで、アクションだけでなく、ドラマとしても見応えがあった。

私が香港映画にどハマりしていたのは20年ほど前。ニコラス・ツェーはその頃の新世代の代表格で、私も大好きだった。「香港国際警察/NEW POLICE STORY」(2004年/香港) のプロモーション時だったかなと思うが、ニコのファンイベントに参加したことがある。スクリーンの中では強気で生意気で繊細なイメージだったが、礼儀正しく謙虚で腰が低い(その日は、そんなに?!というくらい腰が低かった・笑)とても良い子だったのを覚えている。

ニコはアクション俳優というわけではなかったと思うが、香港の俳優は基本的に何でもやる感じだったので、アクション映画にもよく出ていた。私もアクション俳優だと思って観ていなかったので不意打ちだったが、「トランサー」(2001年/香港)という映画を観た時に、あれ、この人アクション上手いのでは?!と気づいた。たくさん観ていると、自分がなんとも心惹かれてやまない好みのアクションというものがわかってくるが、私の場合はダントツでジェット・リー、実は次いでニコラス・ツェーなのだ。

「レイジング・ファイア」は、なんとドニーさんとニコのガチンコ対決が見られる!ドニーさんは言うまでもないが、ニコのかっこいいアクションも健在だった。復讐心の塊の危うくて怖い悲しい敵役は、若さゆえの繊細さから昇華されたような大人の繊細さが素敵だった(怖いけど)。近年はそんなにたくさん映像作品には出ていないみたいだけど、大人になったニコのアクション映画以外の作品も観てみたいなぁ。

ところで、本作はベニー・チャン監督の遺作である。監督の訃報を知った時、あまりに早すぎて信じられなかった。ベニー・チャン監督といえば爆発連発のド派手なアクション映画。昔観ていた時はアクションの派手さがストーリーから切り離れて先行している印象があったが、本作は派手な演出がドラマ部分の感情を揺さぶるのに一役買っている感じで、演出のダイナミックさがそのまま展開のダイナミックさにつながっているように感じた。次の作品も観たい!と思わされたのに、もう次はないのがとても寂しい。

 


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